【殲血戦鬼エングライフェン】
製作:アン武(アンドロイド武田)氏
進行:2話まで


満を持して、というか。ついにリリースされたアン武さんの連載作品。
プレイしないわけにいかんでしょー……レビューは遅くなりましたが。

あ、それと僕がダウンしたのは10月28日頃のverなので、
そこ修正されてるよというのがあったら流してやってください。




まずはチュートリアル、一騎打ちシステムに関しての解説。
半理解状態だったものの先が気になったので本編へ……開始30秒で顔を出す噂の超☆天才
はいって言ってんだろ!? とか、読み流しでいいんじゃ!? とか、
無駄と悟りつつツッコミをかましながら解説→オープニングへ。
演出すげー、やっべぇ……しかしそれはこの先に続くド派手演出の伏線であった。


第一話(前編):
まずは騎士エーヴァの視点から始まる第一話。
最低限の描写で人物像を見せて、尚且つ会話を魅せる。
テキストの見せ方は本当に強いですこの人、適わん。
ただ人物描写は上手いんだけど、状況の描写が釣り合ってないか。
会話で比喩表現を上手く使ってる分、逆に『槍を向ける→奪われる』の状況が分かり辛かった。
伏線と違ってさり気なく散りばめていいもんじゃ無さそうな気が。
スリードとか追い込んでいく状況とか緊迫感はうまく作れてるだけに。


第一話(後編):
ムクロ視点が重視される一話後編。
不釣合いな罪状を持つ一般人、そんな第一印象を少しずつ拭い去っていく。
絵に描いたような嫌なボンボンを上手く出し抜いたのにはすっきり爽快、
でもその後の戦闘ではまるっきし外道モード。掴めそうで掴めないのは流石アレの元助手。
いろんな意味で現実主義者だよなぁ、としか。


後半の戦闘でいよいよ売りシステムの一騎打ちが。
ただしこれに関してはほぼイベント戦でイマイチ持ってくる意味が分からず。
売りにするなら出し方がちょっと弱かったかも。


第二話:
へー、ここがあの村かー。大きくなったなー。
前作プレイヤーとして至極当然の感想ですよね? な二話。



……猫が、猫がーーー!! 何をするだオレーグ、許さん!

いや……まぁ、その辺でキャラとしての印象が固まって、
読み進めていくうちに戦場のリアリスト的な立ち位置だと分かるのですが……。
……しかし下位OOI乗りと言いつつつええ、微妙につええよこの人。

泥仕合の雰囲気は上手く出てて、果てに飛び出す伝説のエングライフェン。ようやくタイトル通りだ!


総括:
人物描写と会話シーンの秀逸さ、SRCの限界に挑戦中ですか? な演出。
前評判どおり高水準なシナリオ……ではあります、が、それだけに悪い所も目に付きやすい。
つうか、長くなりますので注意。


以前【天馬博士と吸血鬼】のレビューで二つほど要望を出しました。
『主役やるなら助手のキャラをしっかり』と『世界観の掘り下げ』この二点。
前者は上手い具合に構築されて言ってるんですが、後者が……。
ごった煮世界観にツッコむのはもう野暮と言う事で、一番の問題点。


OOIと言う存在がぼやけている。


OOIと通常の機動歩兵、及び使い手の差別化ができていない。
一山いくらの一般兵士とOOIには、当然強さ以外の境界線をつけるべきで、
例えば発動条件。詠唱と媒体が必要という前情報が突然提示されるために、
エーヴァがミニゲームに明け暮れてまで槍を探す理由にいまいち実感が伴わない。


早い時期、と言うよりしょっぱなからOOI対OOIの戦いとなっているため
OOIが際立たず、単純に性能、能力の優劣にだけプレイヤーの気が行って、
オレーグの語る下位OOIの生還率もただの会話として流れてしまう。


それこそ山賊とかゴロツキ相手でもいいから、まずプロローグ的に一話挟んで、
エーヴァの、ひいてはOOIってものの特別さを見せつけておくべきだったかも。


天馬博士〜でも、ゲンキダイでも情報が多すぎな印象がありましたが、
下準備をしない、或いは出来ない状態で必要な物を揃えようとした結果かと。
『水の入ったコップを倒す』のではなく、『倒そうとしてるコップに水を注ぐ』状況です。
結果は同じでも印象は変わります。


今回は単一作者で連載モノ、仕込みの話を入れて大筋を作っていくと良くなるかと。
……いや、まぁそんなん気にならない程のパワーがあるのは事実で、
そのパワーがない僕の言葉、ってのもまた事実なんで、
『妬みだろバーカ』くらいの気持ちでひとつ。
やたらめったら書きましたが、次のリリースを心待ちにしてます。