さてどうしよう……そうだ、去年のうちにレビューしようと思ったのがあったじゃないか!


【メロスさまが視てる】
製作:五目ペチカさん
進行:現公開ルートまで

てぇわけで、なぜかクリスマス公開シナリオを正月も過ぎてからレビューする形に。
いや、プレイ自体はしてたんですが文章をまとめる時間がなかった故、
寝かしてました……の割に簡潔なのはお許しあれ。
まぁタイトルから連想された方も多いと思いますが、走れメロスリスペクトの本作。
『結婚式』とか『不滅の友情』とか、どっちにせよめでたい日には丁度いいシナリオなので早速レビュー。



スイマセーン…ボク嘘ついてマーシタ…(以下略)
もうね、作者氏を考えるとある程度予想はしてたんですが、
いやしかしボーイズビー〜ではやってくれたし、きっと今度も……とか思いはしたんですが、
完全に直球ストライクの陰鬱展開に初回プレイでは正直二の句が継げませんでした。


シナリオのシステムは選択式アドベンチャー
話の筋は女傑版走れメロス、といえば一言で済んでしまうんですが、課される試練というか逆境が半端ないっす。
元ネタどおり友達の命を担保に村まで帰ってくれば【ネタバレ】だったり、
盗賊どもを打ち殺して約束どおり都まで戻ってみれば【ネタバレ】だったり、正直救いがありません。
元ネタ通りのポロリもないよ!


真面目な話をすれば、途中難度も襲い来るやむ得し仕方無しな状況をことごとく乗り越え
彼女なりの信念を貫いた故に迎えるラスト。美しくもあるし生き様を否定する気など毛頭起きませんが、
これが物語である以上そこに何かしらの奇跡や逆転のからくりを期待してしまうもの。
そういう心理を逆手にとって、ある意味もっとも現実的ではない(普通は逃げます的な意味で)展開で、
さも当然のように現実を見せ付ける事で、効果的に罪無きプレイヤーを虚無感へと突き落とす。
第一重要な(文字通り人生の)分岐点をこちらの手で選ばせる手法が実に巧みにしてえぐいわけで。
同時に問題点もそこにあり、クリスマス公開用と考えれば仕方がないとは言え、
相反する展開を期待できたであろう復讐ルートを同時に用意できなかったのが悔やまれるか。
現状公開版だとライターとしての技巧は目を見張るものの、上に挙げたような点から娯楽としては大分弱い。
……とはいえ、ボーイズビー〜とはまた一味違う洒脱なテキストはお見事。
これはやはり元ネタの影響もあると思いますが、最近隆盛の兆しがある文章で魅せるシナリオの中でも
ライトノベル型のデコレーションが控えめなのは珍しいし、読みやすさや伝え方では一歩抜けた印象。
氏の引き出しの多さを楽しむ分にはこういう分岐型はピッタリだと思うので、
(真似は出来ずとも)続きを追っていきたいと思います……え、次回更新はクリスマス?