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【LastSpell -BeforeStory-】
製作者:和光佳清さん
最終話までプレイ。
『明鏡』と呼ばれる神器を手に入れるため魔導学校『漢山』から派遣された、
フッ君ことフライタ=フォルテとサリシア=ミラ=コルネット。
神林を臨む街ヴェルブンコシュを舞台に、二人が見つけるのは宝か、それとも……?
先日ついに完結なさった、和光さん製作の等身大ファンタジーシナリオ。
以前一話、二話をプレイさせていただいて以来、久々のプレイとなります。
タイトルからも分かる通り、同氏が連載中の『LastSpell』の外伝作。
ただ、僕は本編をプレイした事はありませんので、そんな視点から感想を書いてみようかと。
さて、細かい点は一時置いておいて、最後までプレイしてみて正解だったと思えた作品でした。
名実共に外伝作品なんですが、ファンサービスだけじゃなくて、
一つの話として成立してました。
ちょっと理屈っぽい、大人ぶるフッ君が最初は少し苦手でしたが、
話が進むにつれて少しずつ変わっていく姿は微笑ましかったです。
本編に繋がるラストで、しっかりと成長してくれてたのが嬉しかった。
上記の通り、外伝作品ゆえに不明な設定もあるんですが、
話の芯はきちんと入っているので、その点では戸惑わずにプレイできました。
また売りの一つであるフリーバトルも楽しかったです。
僕、淡々とレベル上げするだけの作業はそれほど好きじゃないんですが、
アイテム収拾と言う依頼の存在が作業感を紛らわす良い材料になってて。
反面、改善していく必要があると感じたのは描写の唐突さや、
状況を整理する前に新たな設定が飛び込んで来る点でしょうか。
短い話ゆえに仕方がない点もあるんですが、
それに合わせて情報量を減らすなりするのも大切だと思います。
プレイ中に情報整理が間に合わず混乱してしまう事が何度かありました。
特に描写に関してはもう少し工夫を。
衝撃を与える前に、まずは伏線を張るなりそれとなく匂わせておかないと、
キャラクターが予定調和的に動いている印象が出てしまいます。
特にそれが顕著なのが4話と5話。
4話のアレは、うん、本編でそういう娘だって事が浸透してるのかもしれないけれど。
イキナリすぎてちょっとゲンナリしてしまった、というのが正直な所で。
5話の方は、立場によって考え方や行動が変わるってのは『分かります』が。
その象徴たるガトリン兄弟が3話であぁ言う事して、サリシアもああいう風な反応を見せてるので、
あの溝を埋めるには『生きてたから大丈夫』だけじゃ足りないと思うのです。
プレイヤーの『理解』と『納得』は切り離して考えなければならないし、
切り離して使えばより良い効果が生まれるものかと。
さて、色々と手厳しくなってしまいましたが、
シナリオ自体が嫌いかと言えば、冒頭で述べたとおりNO。
フリーバトル、依頼、話の本筋と、遊んで+読めて楽しめた作品でした。
瑣末な描写を大切にすれば物凄く面白い作品が作れる方だと思います。
応援してますので頑張ってください。