【強襲遊撃分隊の日常】
製作者:リドリーさん
プレイ:最新話、及び外伝3話まで。


機を逃して全然手をつけてなかった学園シナリオ。
いざプレイしてみればぶっ通し、ビックリ。


R女学園の自警団、姫士組内において遊撃を担当する少女達が、
不条理から目を背けず、相容れぬ相手に背を向けず、
持てる力を駆使してその信条を全うする、そんな物語。

相容れぬ相手、という表現をしたのは、
このシナリオに登場する主要敵の多くが、
やはり己の信条に基づいて主役達と刃を交えるから。

彼らは善人では無いし、やっている事は褒められたものではない。
しかしそこには理由があり、一人の人間の生き様として成立している。
故に物語に深みが出るし、感情移入できる。
シナリオローカル、樹海の騎士バーベム卿は肩書きに負けぬかっこいい漢。
学園シナリオにおいて三下登場が多い清水もこのシナリオだとやたら男前。
そんな彼の死亡フラグが怖いと感じる、これはきっといい事だ。


味方サイドも個性的なキャラ揃い、
推したいのはやはり主役二人、雲原さんと鈴音さん。
性格は正反対なんだけれども深い所で似通った面があるコンビ、
二人の描写が上手い故にベタではなく、王道。
この辺は本当に見習いたい。


登場キャラクターは多いんだけれども、
それぞれが話中できちっとキャラ立ち、キャラとしての意味を持たされてる。
キャラクターが増加しがちな巨大組織。
完全に把握するのはかなり大変なのだけれども、
やはり扱い慣れている印象。版権シナリオで培われた技術、なのかも。


戦闘は標準的な難易度、ボーナス条件の提示や
あの手この手の勝利条件で単調にさせない。
ちょっと頭を使う必要がある。

欠点は、女子高が舞台ゆえ百合描写、
あと鈴音さん関連のエロ描写が露骨なトコか。
本筋は正統派で万人が楽しめるシナリオゆえに、
少々人を選んでしまうのが難。
学園知識は……基本設定(三学園、能力者)について知っておけば問題なさそう。
ただ描写がかなりハード、あまり容赦なしなので、
左翼ゲリラを自称なさるご本人の言葉どおり、学園モノとしては割と異端。

とは言え、状況整理の仕方、キャラ描写、話の回し方、
どれも堅実で隙が無い。
特にハードな路線の根底に流れる燃えと生き様は刮目すべし。
気が付けばぶっ通しでやってしまう。そういうシナリオでした。